クリティカルヒット


先週、取引先での打合せ。その会社の担当の女性は、

いつ見ても完璧な「エビちゃんOL(CanCan中吊り風に)」スタイルで

関心してしまう。どこかのAV女優スタイルとは天地だ。

しかも記憶力がかなり良いらしく、当人が忘れているようなちょっとした事を

憶えていて、それをサラリと会話の端に入れるいわゆるオヤジキラーな才女。



ところが、些細な件で言った言わないの話になり、

高じてかなり激しい口論になってしまった。



こうなると僕の分が悪い。

普段の商談でもメモは取らない、人の話は聞かない、

そのうえ重度の記憶障害なので、どんどんと追い込まれていく。

結局、僕の思い違いだったということで、しぶしぶその場は納まったのだが、

帰りのエレベータのドアが閉まる直前に、ふと頭を上げて顔を見たら、

なんと、眩しいばかりの笑顔で小さく手を振っていたのだ。



すっかりホンワカした気持ちでビルを出たのだが、

近くの富士そばでカレーセットを食べている時に

「はて、あれは勝利の笑顔だったのでは」と気づいて

猛烈にハラワタが煮えくり返り、駅までの通り道にあった小さな神社の

前で立ち止まり、一瞬目を閉じて彼女に不幸が襲い掛かるように祈ってみたのだった。



そして昨日、その女性の上司から電話があり、

「こちらの勘違いでした」という事でお詫びをしたいと

申し出てきた。記憶力の悪い僕はその事すらも忘れていたので、

お詫びに来て頂くことは無いと申し出たのだが、どうしてもとの

事だったので、逆に近くまで行く用事があったため、先方に伺うことにした。



ところが、今度は是非お詫びしたいと言ってた上司が

「別件で」一足違いで外出してしまったとの事。

完璧にコケにしてやがる。。。

温和な気持ちで訪問したのだが、一気に着火してしまったので、

当人の女性1人を前に偉そうに長々と説教。



少し俯いてしおらしく話を聞いていたので、頭に乗って捲くし立ててたら、

どうにも聞き捨てならない事を言ってしまったらしく、その女性が突然「バンッ」と

バインダーを閉じてキッと顔を上げたその瞬間に





なんと、ひとすじの涙が!ツツーッと!





あまりにも完璧で神々しい御姿すぎて爆笑ものだったのだが、

一方で半端無く焦ってしまい、何をとち狂ったかハンカチーフを

さしだそうとポケットに手を突っ込んでみたが、

出てきたのはコナミスポーツクラブ五反田のポケットティッシュだった。

この瞬間以上に、祖母が出掛けに必ず「ハンカチーフ持ったかね?」

と聞いてくるのを疎ましく思っていた小学生の自分を後悔する事は無いだろう。





それにしても生涯であんな反則技を見た事がない。

「鬼の!機転術(ASIN:4901350706)」読むよりもよっぽど必殺だ。

かなり高いハードルの条件付だけど。





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